法人向け生命保険についての規制強化

法人税の節税効果をうたい、中小企業を中心に加入が増えている法人向け生命保険について、国税庁が税務上の取り扱いを見直す方向で検討していることが分かった。保険料を経費として算入できる割合を制限する方向だ。営業現場で節税面が強調され、生命保険の本来の目的から逸脱しているとの判断がある。

 国税庁は今後、「解約返戻金」の返戻率が50%を超える保険については、節税目的の加入にならないよう保険料を経費として処理できる割合を制限する方針だ。13日、業界側に見直し案を提示し、幅広く意見を募ったうえで取り扱いを見直す。大手生保各社は契約者の混乱を避けるため、当面の販売を停止する方針だ。

 問題となっているのは、経営者が将来の役員退職金の支払いや、死亡時の事業承継費用に備えるために加入する定期型の法人向け生命保険だ。加入した法人は毎月、生命保険会社に保険料を支払い、死亡時に保険金を受け取れる。途中解約すると契約期間に応じて解約返戻金と呼ばれる払い戻しもある。保険金額は億円単位に上り、月々の保険料は10万円を超えることが多い。

 契約期間中の保険料を全額経費として処理しながら、返戻金も役員退職金などに充てると課税されないという節税メリットがある。

 たとえば、40歳の経営者が、年間200万円の保険料を支払う契約期間20年間の保険に加入したとする。実際は、年間の税引き前利益が1000万円あるにもかかわらず、保険料の支払いが経費となるため、法人税の対象となる利益は800万円に減る。法人税率が30%の場合、納税額は240万円で済み、通常より60万円、10年間では600万円の節税となる。

 加入者の年齢などによるが、解約返戻金は5~10年程度でピークの9割程度に達することが多い。最近は、条件によっては、契約してから数年で7割を超え、契約後すぐに解約してもメリットが大きいケースがある。

 国税庁は以前から、節税目的での加入を抑制するため、保険料を経費として処理できる条件を設けてきた。ただ、2017年春に日本生命保険が条件をかいくぐる商品を販売したのを機に、他社も追随した。生保のセールス文句では、保険そのものの返戻率とは別に、節税効果も含めた「参考返戻率」という言葉が使われ、勧誘が過熱していた。

読売新聞オンラインより https://www.yomiuri.co.jp/economy/20190213-OYT1T50347/

 

以前から法人が加入する保険(逓増定期保険やガン保険など)への規制強化があり、節税メリットが失われてきましたが、今回はそれにも増して大幅な規制強化となりそうです。節税メリットもさることながら、簿外に資金を準備できたりと中小企業の資金繰りにも影響が出るかも知れません。

今後情報が出れば追記していきます。

 

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